不眠の幻覚
断眠実験の最中、ときには実際、精神病性の発作的な幻覚が生じたこともあります。
ある男性は、ゴリラが部屋の片隅に現れて威嚇しながら向かってくるのが見えました。
この幻覚はきわめて真に迫っていましたから、かれはベッドのある部屋を飛び出しました。
するとそこで幻覚は消えたのです。
こんなことがあるにせよ、よく考えもせず、すぐに重大な結論を下してはならないのです。
こんな奇怪なできごとは、やや例外的な場合です。
誰でも苛酷な断眠条件のもとで一時的な乱調が生じますから、たんなる吐き気とか極度の疲労を感じるくらいの人はずっとたくさんおります。
でも自ら志願して断眠をしている人が精神病の症状をあらわすとは限りません。
多くの唾眠専門家の見解では、こんな効果がはっきり現れる症例は、いずれも、志願者が異常性格や特異な履歴の持ち主の場合だけだ、ということです。
もっとふつうにみられるのは、考え方や態度に少しばかり変化が生じることですが、それは断眠者が現実とうまく対応できなくなっているためでしょう。