日本建築の見るべきところ 5
最後に、反対側の二畳台目の間。
ここでは、台目分だけが三重の棚になり、棚の袋を雲型の藍染め紙と銅の丸の中に七宝をおいた引手にしています。
また、白鳥の子張りの襖の引手は、花菱型です。
したがって、室の境では、花菱型と「の」の字型が裏と表になるのです。
さらに、この二畳台目の間で目立つ大桟の障子は、玄関の板の間に設けられた下地窓の反対側につくもので、障子そのものを内向きの桟ともども見せるという珍しいものです。
この一条恵観山荘では、書院造の要素を見出すことができません。
その意匠のほとんどは、数寄屋風です。
そればかりでなく、多くの新しい趣向を取り入れ、創りだしています。
中央の書院といわれる六畳の間から見た西あるいは東の二間つづきのたたずまいは、どう考えても書院造に間違えられることはないでしょう。